≪生産者:シャトー・ラ・トロショワール≫
ドメーヌのオーナーはロクール家。2015 年に畑を購入し、1993 年生まれの Bastien Rocour/バスチアン・ロクール氏が白ワインのみを造る。畑はシノンの西側 Couziers/クジエ村に所有する。この区画は 2016 年に AOP シノンとして認定されたのだが、本来この一帯は作家フランソワ・ラブレー氏(著書に「ガルガンチュアとパンダグリュエル」など)の生まれた村の名前に因んだ C&#244tes de Seuilly の認定を望んでいた。ところが残念なことにそれは許さず、AOP シノンに組み込まれたという経緯がある。独自のアペラシオンを取得しようとしていただけあり、石灰と砂が主体のシノンのテロワールとはやや異なり、粘土ともろい石灰の混じる土壌が特徴的である。そのため、バスチアン氏はカベルネフランよりもシュナンブランの栽培に適していると考えている。カベルネフランは、ポリフェノールと果実の熟する時期が一致しづらいブドウであるため、青臭さが出やすい。シノンにおいてもルネサンスから 18 世紀までは、オランダ人やイギリス人が白ワインを好んだため、かつてはシュナンブランが多く育てられていた。現在、AOP シノン・ブランはシノン全体ではわずか4%の生産量に減ってしまった。そのうち白のみを専業で造っているのはこの生産者のみ。